コロナウィルスにより社会情勢が大きく変化する中、メンタル不調による従業員の休職のお話を
よく伺うようになりました。
本日は、『メンタル不調で休職した従業員の復職』について、お話ししていきます。
今回は、休職期間満了前に復職の申し出が従業員よりあった場合の対応となり、
復職は、休職に入る時より慎重な対応が必要となります。
復職は会社の就業規則にルールとして定め、運用をしていきます。
一般的な就業規則には、復職時は復職届と医師の診断書を提出することとされていますが、従業員の主治医は
メンタル不調により休職した従業員が前向きに復職をしたいと願い出た場合に、「就業可とする」という診断書を
書いてくださることはあると思います。
ただその診断書は少し注意が必要です。
それは、従業員の主治医はそもそも従業員の業務がどういったものか、どこまで理解しているかはわかりません。
それぞれの医師の方針もあると思いますが、本人からの働きたいという意思を尊重して、診断書を出してくださる
医師が多いのではないのかなと思います。
医師の診断書通り、すぐに復職をさせるべきなのか、これは大変難しい問題です。
またメンタル不調は大変繊細な問題になりますので、下記の通り3つが重要と考えます。
①ルールの明確化
②専門家の意見
③日ごろからの従業員と会社の関係性の構築
①ルールの明確化→就業規則に定めた復職時のルール
就業規則にはこういった状態であれば、病気治癒とみなし、復職を会社が認めるとすると、具体的な状態を記載して
おく。例えば
①始業・終業時刻を守って所定労働時間働けること
②独力で安全に通勤ができること
③時間外労働月○○時間ほどの就業もできること
など、具体例として就業規則に規定をしておくことにより、診断書に「就業可とする」と記載があっても、このルールに
該当しない場合は、規程を根拠にもうしばらく療養を勧めることもできます。
上記について、ルールを定め、適切に運用をしていくことは、最終的に会社、従業員本人、同じ職場で働く同僚たち、
全員のためとなり得るため、ルールの明確化は大変重要です。
②専門家の意見→主治医以外の医師
復職時には産業医等、会社と医師が直接契約して、従業員が主治医以外の医師と面談をしていただく。
つまりセカンドオピニオンにより、復職の可否を見極めることもできるでしょう。
上記の2点については、比較的対応はしやすいのですが、一番重要になってくるのは
③日ごろからの従業員と会社の関係性の構築 です。
一般的にメンタル不調に気付くのは従業員と接する時間の長い家族、職場の同僚が多いと言われています。
傷病の発症に早期に気付けるかどうかも大変重要な点となり、日ごろから会社と従業員、同僚のより良い関係性を
構築し、可能な限り傷病の発症を防いだり、発症後も従業員を皆でフォローしあえるような体制作りが重要です。
メンタル不調についても、いつ誰が当事者となるかは分かりません。
日ごろから、心と体の健康維持を心掛け、働きやすい職場環境を構築していくことがメンタル不調者が職場から
出ることの事前の防止策となりうるのではないでしょうか?